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  • 給水用ポリエチレン管の経年劣化に関する調査検討報告書について

「給水用ポリエチレン管の経年劣化に関する調査検討報告書」概要

【調査検討の背景と経緯】

熊本市における埋設給水用ポリエチレン管(以下、「PE管」という。)は、2016年4月に発生した熊本地震発生以前より、漏水事故件数が増加傾向にあり、熊本地震以降もその傾向が変わらず、比較的高い割合での漏水事故が続いていました。

このことを受け、令和2年度に更新対象給水管として想定しているPE管の余寿命に関する知見を得たいとの熊本市からの要望もあり、掘り上げた経年PE管が同市から提供され、それらの性能評価を行いました。この調査結果は、「埋設給水用ポリエチレン管の経時変化と健全性評価に関する検討報告書」として、当財団ホームページに公開されています。

令和3年度は、上記報告書を受け、調査対象の事業者を増やし、経年PE管の使用寿命調査及び破損解析を目的とする「給水用ポリエチレン管の経年劣化調査に関する共同研究」を、山形大学、日本ポリエチレンパイプシステム協会及び当財団の三者により実施しました。また、この分野の専門家による「給水用ポリエチレン管の経年劣化に関する調査検討委員会」を発足させ、この委員会による共同研究の結果の審議を経て、この度、報告書が完成しました。


【調査対象のPE管】

全国10事業者の協力により掘り上げたPE管210件を、2021年5月~10月の期間に提供いただきました。このうち、管体部から漏水した管で、他工事等の外部要因により破損したものを除き、埋設時期が判明している96件のPE管を供試管として、使用寿命調査及び破損解析を行いました。


【調査結果】

提供いただいた供試管を用いた調査の結果から、以下の点が導き出されました。

経年PE管の破損解析から、40年以上経過したPE管でも、使用内水圧による管直径及び厚さの寸法変化(変形)はほとんど認められず、漏水は、管内面に発生した亀裂が、長い年月を経て成長し管を貫通した結果であることが判明しました。PE管に係るJIS規格で、こうした亀裂の発生・成長に対する抵抗性をPE管の長期性能(寿命)として導入したのは、1998年の改正からです。

また、経年PE管の使用寿命調査において、漏水発生年数の統計処理を行ったところ、1998年の改正JIS規格よりも前の規格に従って製造されたPE管は、埋設から1種管では約31年、2種管では約40年を経過すると、漏水の発生数が増加し始める可能性が示唆されました。さらに、埋設から1種管では約42年、2種管では約49年を経過すると、漏水の発生数が大幅に増加し始める可能性も示唆されました。

PE管を使用されている水道事業者等におかれましては、上記の内容を参考にして、埋設管の計画的な更新に役立てて頂ければ幸いです。