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給水管分岐部に係る給水配管の耐震性評価報告書について

【研究の背景と経緯】

近年多発する大地震において、給水配管には多くの被害が発生しており、地震後も安定した給水を継続するためには、給水装置を含む水道全体の耐震性の向上が求められています。水道施設においては、水道施設耐震工法指針(2009)により一定の耐震性能が示されていますが、給水装置においては、耐震性能が定められておらず課題となっています。

当財団は、令和3年度の給水システム協会との共同研究として、ダクタイル鋳鉄製の配水支管より分岐する際に用いられるサドル付き分水栓から給水管および継手を経た給水配管を選定し、下記の3条件による耐震試験や性能評価を行い、これらの内容を学識経験者、水道事業体、関係団体で構成される委員会で審議いただいた上で、耐震性能の評価結果をまとめました。


【給水配管の3条件】

試験に用いる給水配管は、国内で数多く採用されている耐震性を有するとされているサドル付分水栓、給水管、継手の組み合わせを選定しました。
(JWWA:日本水道協会規格、WSA:給水システム協会規格)

  • 条件1:JWWAサドル付分水栓A型+WSA規格継手分・止水栓用+水道用ポリエチレン1種二層管(生曲げ配管)
  • 条件2:JWWAステンレス製サドル付分水栓AF型+JWWAステンレス製伸縮可とう式継手+水道用波状ステンレス鋼管
  • 条件3:JWWAサドル付分水栓A型+フレキシブル継手+水道用波状ステンレス鋼管

【研究結果】

上記3条件の給水配管による耐震試験の結果によれば、いずれの条件でもサドル付分水栓のずれは生じませんでした。また、給水管の変形や分水栓ねじ込み部の回転等の部分的な変形は生じましたが、給水性能に影響はなく、継続使用が可能なことを確認することができました。以上のことから、これら3条件の給水配管は、水道施設耐震工法指針に示されたレベル2地震動に対して耐震性能2を有すると評価できました。

この結果を踏まえると、地震等の発生時でも末端までの給水機能を維持する観点から、耐震性の高い配水管から分岐する給水配管は、配水管と同等の耐震性の高い給水配管に更新することが望まれます。一方、耐震性の高くない配水管から分岐する給水配管は、耐震性の高い配水管への更新に合わせて、耐震性の高い給水配管に更新することが望まれます。